友禅という言葉ってすごく範囲が広い。友禅と言われてインクジェットだったって話をネットで見かけたりします。
そもそも友禅って何?って話です。
とりあえず、結論から。インクジェットであっても友禅です。
これは変に思われるかもしれませんが、友禅という言葉の定義が人によって違うから。
最も最狭義の友禅が手描き。その次の段階として型友禅、スクリーンと続き、最も最広義として機械染やインクジェットとなります。
なんでこんなことになってるかというとそもそも友禅にはいくつかの意味があります。
歴史的な経緯から順に説明すると
一つ目がその名の由来になった宮崎友禅斎。
二つ目が彼が生み出した友禅模様を模したデザイン
三つ目が友禅染(手描き)という技法となります。
※補足
友禅はその名前の由来となった宮崎友禅斎が元禄期に創案したものといわれています…が、実際、彼が技法を生み出したという根拠はなく、友禅斎はあくまでも扇面絵師であり下絵もしくは意匠原案の製作をしたデザイナーで、デザイナー兼プロデューサー的な人物であったという説を僕は正しいと思ってます。
ということで元々人物の名前であり、彼が生み出した画風のことを友禅と指すようになり、いつしかそれらを行う技法を友禅と呼ぶようになったようです。
なので友禅という言葉を使うこと自体はインクジェットで使うことはデザインのことを指している限り問題はないということみたいですね。
友禅という言葉
友禅はありとあらゆる技法の集約から成り立っているため特定の技術を指していないのが実情です。
これは明治時代に、広瀬治助が捺染の技法を用いた「型紙友禅」を考案し、友禅染の裾野を広げた。すなわち友禅という言葉は、明治時代からプリント(捺染)にも使われていたようです。それ以降もそれに習って機械友禅だとか、インクジェット友禅だとか友禅を模した模様を表現できる技法も友禅と言う名称で明治から現在まで使われていると言えます。
従って伝統的工芸品に指定される前から各種の友禅模様の着物が友禅と言われていたということになります。昭和49年(1974年)に、伝産法が施行され、伝統的工芸品に指定されたから問題を複雑にした側面もあると思います。
※補足
型友禅もプリントであるため厳密に言えば友禅”染”ではありません。着物業界でも古くは、型友禅と手描き友禅は全く別物と扱っており、手描き友禅こそが友禅だという最狭義たる所以はそこになります。
確かに伝統的工芸品に指定されるものについては手工芸品とされており伝統的工芸品の友禅は手描友禅と型友禅のみですが、友禅というジャンルの中に伝統的工芸品というカテゴリーがあり、インクジェットや機械というカテゴリーがあるというのが正確な所だと思います。
現状
訪問着では分かりませんが、振袖では大手のパンフレットや振袖雑誌に技法が書かれないようになりました。友禅の言葉の定義が何を重きにおくかによって混乱が生じるからということでしょう。技法よりもデザインに拘る方が多いからということもあると思います。
まとめ
長々とまとめてきましたが、友禅は友禅模様のような着物、京友禅は京都で作られる着物くらいの認識だということを持っていれば良いかと思います。
技法に拘られる方は技法をお店の方にきちんと確認されるのが1番ですね。
追記
まだ、まとめきれてないような気がするので適宜更新します。