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着物デザイナー、図案家になる方法

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着物の企画、デザインを将来やりたいという人向けにまとめました。

着物デザイナーや図案家になるためには、大きく分けて弟子入りと会社員として就職の二つの方法があります。

それぞれの説明とデザイナーや図案家になる前に、今からできることを今回はまとめてます。

徒弟制度

図案家になる最も王道な方法として、弟子入りがあります。図案家の諸先輩方の多くはこの道を辿っているため、王道な方法だと思いますので、まずこちらの説明から。

ただ、はじめに言っておくと僕は徒弟制度は推奨していません。と言うのも見習い期間のうちは技術が商品を作るレベルにないため、無報酬で働く必要があります。なぜ、給与をもらえないかと言うと、図案家に弟子入りということは社員になる訳ではなく、フリーランスとして所属してる位置づけになるからです。そのため、修行期間中は、自分の食い扶持は自分で稼ぐ必要があります。実際に身にならないまま図案家を諦める子が多いです。

しかも修行が明け、手間賃が貰えるのも本人の技術や親方の意向次第になるので修行期間もいつ終わるか先が見えないまま、ただ時間だけが過ぎることが多いです。

今ではほとんどないと思いますが、本当の徒弟制度を行なっているところであれば、住み込みで衣食住を保証してもらい、小遣い程度をもらいながら技術を仕事を通じて学ばせる工房もあります。漆の工房で長年修行していた友人は、つい最近独立を果たしましたが、当初は住み込みだったそうなので、今でも住み込みでやってられる方もいるかもしれません。

もし、弟子入りをしたいと思ったら、必ず募集内容や衣食住の保証はどうなってるか、自分の現時点の技術ならどれくらいで報酬をもらえるようになるのか必ず確認してください。アルバイト等は許さず、専属でしかダメだという工房であれば、食と住は保証すべきだと僕は思います。

1人暮らしでアルバイトをしながら修行となるとバランスをとるのが難しいので、弟子入りする前にアルバイトでどれくらい稼げるかを必ず把握した方がいいと思います。

修行期間が無報酬と聞くと悪だと考えがちですが、絵の描き方を一から教えて貰えると思えば、美大や専門学校に通う学費がかからずに手に職をつけられる可能性がある分メリットとも取れます。図案家の方も無償で技術を教えてくれてることを理解した方が良いかと思います。お茶の世界でも、師匠に稽古代を支払って教えてもらい、自身も師範の資格を取るのではないでしょうか。

図案家に弟子入りするということは、絵の描き方、商売の仕方を無償で教えてもらえ、長年勤め上げれば、暖簾分けしてくれる可能性を考えれば、最初の数年無報酬というのもある意味当然なのかもしれません。ネットでも探せば、図案家の弟子募集があったりします。ただ、図案家の人柄によるというところも多いので、弟子入りをする前に

ハローワークや求人を探す。

最初に図案家の弟子入りについて、私には無理だなっていう人もいたかと思いますが、普通の就職と同じで、求人票を見てるとたまに求人が出ていることがあります。先日も求人サイトで出てるのを見つけて、この求人はきっとあの会社だななんて思ってたりしました。

これらの求人で募集されている場合は、当然社員になります。求人がされているエリアは、ほとんどの場合、京都になりますので、京都の求人を探してみてください。新卒の求人サイトでは見たことはありませんので、転職サイトの方の求人です。グラフィックデザインの中途採用みたいなことが書いてあっても、新卒の子でも応募できると思います。

社員募集の条件ですが、多くの場合、着物の知識の有無は関係ありません。求められるのはパソコンで絵が描けること。photo shopやIllustratorが使えることが求められますので、事前に見せられる絵を書いたり、パソコンのスキルを磨いておくこと。そしてポートフォリオを作っておくことが大事かなと思います。

なぜ、着物なのにパソコンなの?って思われる方がいるかも知れませんが、これは、なぜかというと図案を必要とする着物は基本的に量産される着物が多数を占めるからです。型友禅の型を作るにしても、インクジェットでデザインをプリントするにしても、現在はパソコンで、デザインすることになります。将来的に着物業界は職人が少なくなるので、パソコンでデザインできることが必要になります。

これらの会社に就職するには、美大や専門学校に通い、自分でスキルを磨いておくことが大切です。芸大や専門学校に通ってないと言う子でもパソコンで絵の練習はできると思うので、まずは絵とパソコンの練習を始めてみると良いと思います。

着物デザイナーになるために今から出来ること

図案家に弟子入りするにしても、会社に就職するにしても今からできることはあるので、今できることから進めてみるのが大事かなと思います。

僕が考える今からできることは

  • 絵を描くのが好きか得意なのかを知る
  • 絵を描くための勉強をする
  • photo shopやIllustratorを覚える
  • 着物について勉強する

絵を描くのが好きか得意なのかを知る

理想を言えば、絵を描くのが好きで得意であれば絵を描く職業は天職だと思いますが、絵を描くのが好きではないとどれだけ着物が好きであっても辛いと思います。キモノデザイナー・図案家になるということと新人を解雇した話でも少し触れましたが、絵を描くのが好きか、得意なのかを知っていれば、絵を描くことを仕事にすることについての向き合い方も変わってくると思います。

僕が考える絵が好きという判断基準は、学校の美術の課題を自宅でやっていて休憩をするとします。この休憩時間に息抜きに課題と関係ない、自分の好きな絵を描けるかが参考になると思います。大学の同級生でもあり、うちの会社のデザイナーでもある友人はこのタイプで、僕が会社に誘ってから、5年間うちでデザイナーとして活躍してくれていますが、仕事を終われば好きな絵を書いています。

仕事となると四六時中絵を描くことになるので、絵が得意なだけの人にとっては徐々に苦痛になってきます。ちなみにどちらかと言うと僕はこのタイプで、しかも大学時代の友人は僕よりもはるかに絵がうまい子達ばかりで、心が折れることばかりでした。しかし、デザインだけじゃなくて経営もできる人になろうと大学時代に思い、その後、経営学の院に進学したことが、現在、着物のデザインという事業を経営することに繋がっています。

絵が得意で好きではない人や、絵は好きだけど得意ではない人は、絵が好きで得意な人と違う好きだったり、得意なベクトルを持つことが重要かなと個人的に思います。例えば、着物のコーディネートは誰よりも詳しくなるとか、和柄の意味については誰よりも知ってる、和裁や洋裁が得意、写真撮影やSNSの扱いが得意など他の好きや得意と組み合わせていくことも個性を発揮していくのに役立つかと思います。

 

絵を描くための勉強を自分で学ぶことができるか

着物のデザインをするためには、好きか得意か関係なく、必ず絵が描ける必要があります。現時点で絵が好きかどうか、得意かどうかに限らず、技術を学ぶための基礎があるかないかは、採用に大きく関わります。また、徒弟制度において修行期間を短縮することにも繋がります。

どんな職業であれ、技術的なモノが求められる職種では、自分で学ぶ姿勢が必要です。

有名な美大に進学を希望している子達は、最低1年間くらいは画塾に通い、受験対策として、デッサン、着彩、色彩構成、立体などの勉強を行います。私大の場合、センター試験だけで合格できたり、学校で描いたデッサンを提出しただけで合格できる学校があります。うちの解雇した新人の子は、後から分かったことですが、このタイプの試験でした。画塾に通えということではないのですが、絵を描くための勉強をしっかりしたかどうか、時間を意識して絵を描いてたか、という意識を持って訓練してたか、そうでなかったかの間には大きな差があることを解雇した新人の子を通じて実感しました。

デッサンが上達するように本を読んだり、練習をしたりすることはもちろんですが、自分で好きな絵を描くと好きなだけ時間がかけられますが、実際の仕事ではそうではありません。限られた時間でアイデアを出し、時間内に仕上げることが必要ですし、日々勉強の繰り返しになります。一定期間絵と真剣に向き合い勉強の仕方や習慣を覚えることが着物デザイナーに限らず、あらゆるデザイナーを目指すときも、なった後も美大の受験対策は意外と役立つと思います。

美大や専門学校を目指してなかったり、通っていなかったとしても、着物デザイナーや図案家を目指すならWEBでいろいろ絵の上達の仕方が書いていますので、そういったものを参考に絵と向き合ってみるのが大切かなと思います。

今、高校生で専攻を考えるなら、大学でも専門学校でも、日本画、グラフィックデザイン、染織・テキスタイルデザインあたりがキモノデザイナーになるのに結びついて着やすいかなとおもいます。一番即戦力になりやすいのが日本画で、染織やものづくり周りを学ぶなら染織・テキスタイルデザイン。着物デザイナー以外の道に進むのに一番つぶしが効くのがグラフィックデザインかなと思います。

美大に進学することは、なかなか親御さんを納得させることは難しいかもしれませんが、その場合は、比較的就職がしやすいグラフィックデザイン系の学科を視野に入れてみるといいと思います。例えば、京都市立芸術大学のデザイン科は、2回生の課題で浴衣を作る課題がありますし、関東であれば、女子美術大学は歴史的な着物のアーカイブも豊富なので工芸のコースでなくてもいろんな資料に触れることができるかと思います。

絵が描けるということは第一条件ですが、どの専攻を選んでもそこでどれだけ何を自分がするか、何を身につけるが重要なので、興味がある専攻に進むのが重要かなと思います。

photoshopやIllustrator

多くの着物のデザインをやっている会社ではphoto shopを使っていますが、Illustratorやほかのドローイングソフトでも構いません。

何かしらのドローイングソフトを使っていれば、応用できるようになるので、触れておくことが大事かなと思います。初心者用のphoto shop用の本を一冊こなし、本を見なくても本に書いてあったことを思い出して自由に使えるレベルであれば、うちの会社であれば着物の図案家なら即戦力になるかと思います。

 

ファッションを楽しむ

意外かもしれませんが、着物についての勉強はあったに越したことはありませんが、仕事を通じて覚えていけばいいと思うので特に勉強しなくてもいいかなと思っています。

着物をデザインするのに必要なのは、着物を着てくれる人がどんな気持ちで買って着てくれるかと言う気持ちを考えて、デザインすることなので、自分の好きなファッションや着物を好きなように楽しむ時期があった方がいいと思います。

そうしてるうちにこの着物の柄はどんな意味なんだろうとか、このファッションの色の組み合わせがカワイイとか、知識やセンスが自然と磨かれていくので、着物やファッションを楽しんでもらうことが大切かと思います。

 

絵を描かないで着物デザイナーなる方法

例外ですが、絵を描かなくてもデザイナーになる方法もあります。

絵を描かないで着物デザイナーになる方法とは自分でブランドを立ち上げるという方法です。最近だとキモノのスタイリストさんや、アンティークの着物ショップが展開しているケースが多く見られます。呉服店やアンティークショップでもオリジナルの着物を制作してるところでは、店員から社内デザイナーに転身できる可能性もあります。

今の時代であれば、自分でも簡単にwebショップを立ち上げることができます。イメージを伝える簡単なイラストさえあれば、図案を描くことができなくても、簡単な資料を着物をデザインしている会社に依頼すれば、当然、お金はかかりますが、着物にしてくれますのでデザイナーになることは簡単です。

着物デザイン会社に話をする時は、下記の情報をまとめて伝えると言いと思います。

  • 作りたい着物の種類
  • 簡単なイラストや資料
  • 何着作りたいか
  • どんな素材で作りたいか

森林堂でも仕事は受けることは可能なので、ご希望な方はご連絡ください。

着物を作ることは外注してデザイナーとしてスタートすることはできますが、着物の見せ方やスタイリングを行い、広報をきちんとすることが必要です。ただショップを作っても売れるものではないので、しっかり売るための勉強を行うことが必要になります。

 

以上、ざっくりと着物デザイナー、図案家のなり方をまとめてみました。

うちでも採用の仕方やデザイナーの育成の仕方は、新人を解雇する事になった結果、採用の方法とかももっと考えないといけないなと反省し、日々研究中なので、採用以外にも教室やインターンシップなどの方法も模索しています。

2018年に新人を解雇して色々反省と心痛めたので、2019年3月時点では、まだうちでは新たに人を迎えようという気にはなってませんが、学生向けに長期休業期間中のインターンシップなどはやろうかなと思っていますので、興味のある方はコンタクト取ってみてください。

いずれかのタイミングで採用活動は行い、一緒に頑張ってくれる着物デザイナーをうちでも育てたいと思っています。

shinrindo
着物デザイン。テキスタイルデザイン。森林堂 古きなかにも今っぽさをモットーにした着物からテキスタイルを中心にデザインしてます。お仕事のご依頼、遊びのお誘いはこちらからmori@shinrindo-kyoto.com
http://www.shinrindo-kyoto.com

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