”着物 インクジェット”で検索すると見分け方を知りたい方が多いみたいなので、作り手から見たインクジェットの見分け方について。
”着物 インクジェット”で検索すると見分け方を知りたい方が多いみたいなので、作り手から見たインクジェットの見分け方について。
ネットを見ていてインクジェットの見分け方をブログとかで書いている着物関係の一部の方が、詳しく調べずに、書いている記事も中にはあります。今回は多くの人が知りたいと思っているインクジェットの簡単に見分け方についてまとめてみます。
先日まで公開していましたが、noteに切り替えました。大きく分けて3つある見分け方のうちの1つだけをこの記事でも公開してるので残りはnoteをみてください。
インクジェットで10年着物を作ってきたノウハウを惜しみなく、見分け方以下にまとめましたので、ご参照ください。
目次
インクジェットの見分け方
1.裏が白い
インクジェットであれば仕立て前の状態で裏が白っぽい。インクジェットは、生地の内部にまでインクを浸透させて染めていますが、色が裏まで抜けるわけではありません。そのため、裏が白っぽくなります。ただし、手工芸の友禅の技法によっては裏まで染まらない技法もあります。またスクリーンで染められたものも裏が白っぽいです。インクジェットはどの技法よりも裏が白いです。留め袖や訪問着は柄部分のみインクジェットを用いて、地色は引き染めを併用して裏まで浸透しているものもあります。インク量を増やし可能な限り裏まで浸透させてるところもありますが、裏が白っぽいかどうかは一番の判断材料になります。
続きが気になる方は下記からnoteをご覧ください。
続きはこちら
余談
見分け方と関係ないけど、余談です。
インクジェットの着物を、手描きと偽って販売することは言語道断ですが、インクジェットで作られた偽物とか本物じゃないっていう人をネットで見かけることがございます。
確かに工芸としての着物とファッションとしての着物を着物として一括りにするのは無理があるのかも知れません。インクジェットに批判的な意見があることも重々知っておりますが、インクジェットで着物を作っている人の多くが、しっかりとデザインをやって、インクジェットでプリントの細部までこだわってものづくりをしています。
私達はインクジェットでできる技術の全てを駆使して着物を真面目にデザインしています。決して偽物を作っているのではありません。インクジェットだからって偽物の着物ってことはない。インクジェットを手描きだと偽って販売する人がいるなら、呉服店が偽物だったのではないでしょうか。
着物がインクジェットの技術を求めたのは必然的なこと
私はインクジェットという技術を使っていますが、着物がインクジェットにたどり着いたのは必然だと思っています。多くの職人が知恵と技術を重ね、様々な染色技法を開発し、友禅染という技法が生まれ、明治期には海外からの染色技術、化学染料が取り入れられ、型友禅が生まれました。その後オートスクリーン、ロータリースクリーンなどの染色技術が発展し、江戸時代の古着文化から新品の着物が購入できるように、科学は誰もが色鮮やかな着物を着れる機会ができるようになりました。そして、染色技術を追求し、アパレルよりも先に着物業界はインクジェット取り入れてきました。
いつの時代も着物は最先端の染色技術を追求してきました。インクジェットは現在、より良い染色方法を追求した着物の最先端の新しい技術であるのです。これから先もインクジェット以外の新しい技術が生まれるでしょうが、それらは間違いなく本物であるはずです。もし、皆さまを欺くような着物が生まれるとすれば、インクジェットという技術ではなく、売り手によって生み出されるものだと思います。
また僕は、インクジェットこそ今の着物業界を支える技術だと思っています。僕達の着物デザイン事務所は30代の若いデザイナー中心ですが、着物業界的には職人は高齢化し、数は減る一方です。僕はこの仕事を初めてから、自分の事務所以外で自分と同世代の人と仕事をすることはありませんでした。若いと言われてる人は50代です。ほとんどは年金をもらいながら働いている職人ばかりです。
インクジェットは着物を作る技術であるとともにそうした着物業界に変革を与える技術と言えます。工芸的な着物が作れる環境ではなくなりつつあります。着物という文化を文化を継続するには、産業として維持する必要があります。着物は分業制でできているため、数を作らなければ成り立たない工程がいくつもあります。数を作れる型友禅の職人がいなくなっている現状の中、インクジェットの着物もなくなれば、一点物の着物を作れる環境さえなくなってしまいます。
今までと違う考え方で取り組んでいく必要があります。インクジェットはその一端の技術であり、これから着物と言う文化を広げていくにはインクジェットだけでなく、ポリエステル等の高機能素材等、ファッションとしての付加価値を高めていくことが必要です。着物だから工芸に拘るという時代ではなくなっています。だからといって、工芸としての着物の価値がなくなるわけではありません。
これからの着物は本来のファッションとしての着物へと回帰していくと思います。この昭和、平成という時代に生まれた工芸としての着物を見る目利きとそして、あたらしく生み出される着物をファッションとして着るバランス感覚。そのような着物の楽しみ方をされる方が増えれば、新しく着物の世界に飛び込む方も増え、工芸的な着物もファッション的な着物もより盛り上がるのではないかなと思います。