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新人を解雇した話

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報告が出来てなかったのですが、入社から半年の昨年の11月の新人を解雇した。結論から言うと彼女は、キモノデザイナーに向いていなかった。

新人を雇うことを決めたことは下記にかいているのだが、

新人を試用期間(正確に言うと面談を繰り返し、試用期間を3ヶ月延長した)で解雇した理由をあげると色々あるのだが、根本的には僕自身が人を見る目がなかったということと、人を育てられるという過信だと思う。

知人の紹介での入社であったが、もっと時間をかけて審査しなければならなかった。僕は友人の作家としての作品の技量を信頼し、友人が推薦する彼女の技量に期待していた。確かに解雇した彼女の人柄はよかったように思う。人柄がいいから紹介してくれたのだろうが、ただ人柄がよいのとデザインができるということは全く違う。

見て覚えろ的な全時代的な教育的なやり方はしないように心がけ、解雇した新人の子には、自分ができることをすべて行い、能力不足を補うツールを開発したりとフォローは十分に行っていた。

photoshopのスキルも面接時に聞いていたものとは程遠く、初心者レベルですらない状況であった。誰しも面接でハッタリを噛ますことはあるし、それを踏まえた上で指導も行ったが、残念ながらハッタリを本物にするための努力する姿勢が彼女にはなかった。また、パソコンのスキルを抜きにしても彼女はデッサンはうまいかもしれないが、デザインは不得意で、絵を描くのが好きではなかった。卒業してから、入社してから2ヶ月もの間、彼女は一枚もプライベートで絵を描くことやものを作ることはなかった。

 彼女の学生気分は、何度も面談しても変わるものではなく、試用期間を延長しながら、指導を続けたものの、彼女が変わることはなかった。彼女は人柄はよかったが、デザイナーとしてものを作ることに対する誠実さや向上心には欠けていた。要因を上げればデザイナーとして雇い続けるには致命的な点があったこともあり、本人に試用期間終了をもって解雇という決断に至った。

「見て覚えろ。」確かにこれは全時代的な非効率な教育方法なのかもしれない。しかし、本人の意欲を見るという意味ではこの「見て覚えろ」という言葉もあながち本質を外していないのかもしれない。

 好きこそものの上手なれとまではいかなくても、本人の意欲と現場の世界観がマッチすれば、人はぐんぐん伸びる。いまやっていることの先にある世界が手に取るように分かれば、何をどうすればいいか理解できる。本人の学ぶ力を最も引き出そうとするのが「見て覚えろ」なのかもしれない。

 今回の教訓としては、自分の人を見る目がなかったということが一番にあると思う。最初に彼女の意欲と適正をきっちり見抜くことが出来ていたら、お互いにもっと良かったのかもしれない。
今回の件でキモノデザイナーの育成の仕方を改めて考えさせられたので別の機会にまとめてみたいと思う。

 

shinrindo
着物デザイン。テキスタイルデザイン。森林堂 古きなかにも今っぽさをモットーにした着物からテキスタイルを中心にデザインしてます。お仕事のご依頼、遊びのお誘いはこちらからmori@shinrindo-kyoto.com
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